治安悪化のニュースをよく耳にします。しかし実際の東京都の犯罪発生件数は昔の半分近く。そこには何があるのでしょうか?
東京都の犯罪数と治安の状況について調べてたら驚きました。
と。
警視庁が毎年発表している東京都の自治体別刑法犯発生状況を見てみたら、犯罪数が10年前に比較してものすごく減少していたのです。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
昨年、平成27年の東京都23区の刑法犯罪認知件数と、ちょうど10年前、平成17年の同じ統計で比べてみました。
平成17年......18万5千239件。
平成27年......10万9千740件。
え!!まじかと。犯罪件数が少なくなってきているとは聞いたことがあるのですが、まさか18万から10万近くに減っているということはもう少しで10年前の半分くらいになっているということです。
犯罪が半分になるっていうのはすごいことで、90年代のアメリカのニューヨークでルドルフ・ジュリアーニ市長が「割れ窓理論」によって治安を劇的に改善した時が、犯罪率を半分にした事で大きな評価をされたのですよ。
治安の回復を目標に掲げ、ニューヨーク市警のトップにウィリアム・ブラットンを据え、「割れ窓理論」を用いて犯罪率の減少に取り組んだ。
まさか石原慎太郎氏による歌舞伎町浄化作戦が功をなしたのか?とも思ったのですが、違いました。新宿区の減少率は他の区よりも低かったのです。つまり新宿区の治安の改善度は少ないということです。
まあ、それはともかく、東京都全体での減少の大きさに驚いたので、ちょっと詳しく見てみます。
H17年とH27年の23区刑法犯認知件数をそれぞれの区ごとでグラフにしてみました。
こう見るとやはり明らかに減っていますね。23区全ての区で平成17年よりも犯罪数は減少しています。
特に大きく減ったなと思うのが、「世田谷区」、「足立区」、「江戸川区」の3区です。平成17年の段階ではグラフが上に大きく飛び抜けているこれら3区が、平成27年に入るとそこまで目立たなくなっているのです。
平成27年から平成17年への刑法犯罪認知件数の減少数を、大きい区から順に並べてみるとこんな感じ。
一番減っている世田谷区でみると、この10年間で約7000件くらい犯罪数が減少しているのです。そしてやはり、世田谷区、足立区、江戸川区が上位3位です。
ということは、東京都全体の犯罪数減少に大きく寄与しているのはこれら3区なのです。これらの区でなにが起こっているのか、ちょっと考察してみたいと思います。
これら3区に共通する特徴は、東京都でも端っこに位置するいわば郊外の区なのです。
世田谷区も高級住宅街があることでブランド価値は高いのですが、その端には多摩川が流れているという郊外の区なのです。
この10年間での犯罪数の減少は、これら郊外の区でかっては多く起こっていた犯罪が減っていることが影響していると考えられます。
では、郊外の区で昔は多くて今は少なくなっている犯罪と言えばなんでしょうか??
そう、暴走族です。
暴走族は1982年のピーク時を境に減り続けていて、特に平成16年からは最少を更新しているのです。
警察庁は25日、昨年1年間の暴走族の活動状況を公表し、構成員は6771人(前年比59人減)で17年連続の減少となった。
出典 http://www.sankei.com/affairs/news/160225/afr1602250019-n1.html
おそらく、これら郊外の区で起こっているのは、暴走族が急速に減っていてい、それに伴い暴走族関連の犯罪が急速に減少しているのではと思います。
暴走族と言えば、都心部よりも郊外が大きく発生していたので、より東京でもより郊外である多摩を中心とする東京市部の犯罪減少についてもみてみました。
すると市部地域の犯罪の減少率の平均を見てみると44.9%。
23区の減少率の平均が40.76%だったので、やはり郊外における犯罪の減少率の方が大きいのです。
マスコミではよく報道されている暴走族の減少が、このように実際に犯罪の減少につながっていることを実感しました。
まさに、
珍走団
かけるブレーキ
減る犯罪
だなぁ。
アンケートなどで「治安が悪化している」との答えが多いともよく聞くけど、実際の犯罪数はこんなにも減少してるんですね。
※区部と市部との比較においては人口比が大きいので、減少数ではなく減少率を使いました。
※統計データは警視庁|東京都の自治体別刑法犯発生状況による。
スポンサーリンク