馬事公苑。
名前を見るだけでなんだか魅力的な響きでした。
馬というちょっと貴族的な響きのせいなのか、はたまた「公園」じゃなくて「公苑」となっているせいかのか。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
さて、桜も散ってしまって、新しい若葉が芽吹き始め、街全体が鮮やかな緑色に変わり始めた春のある日。
東急田園都市線の用賀駅から歩いて馬事公苑へと向かいました。
この日はだいぶ暖かくなった日で、用賀駅の商店街を抜けて、馬事公苑へと続く緩やかで長い坂を歩き続けているとうっすらと汗ばんできたくらい。
世田谷区は高低差が大きく、丘陵地帯にあたる馬事公苑周辺から、低地方面を見ると眺めがよく、また、この周辺の住宅街は、広々として高級住宅街に近い趣であり、気持ちが良いです。
途中、駒大高校の下校時間と重なったせいか、大勢の高校生の集団とすれ違う。
新入生でしょうか。やや大きめの新しい制服を身につけ、仲間たちとワイワイ話しながら。春ですね。
馬事公苑の裏にある派出所を過ぎると、広そうな森を囲む長い塀が続いている。
ここが馬事公苑です。
馬事公苑の敷地は広大で、周囲を一周するだけでだいぶ距離があって、ここがジョギンコースとなっています。駒大高校とか近くの中学校の生徒が、部活動で周りをコースとして使っていました。
何人のも生徒が部活動に励んで、ランニングをしていたわけだが、友達同士で話しながらまぁ、とりあえず周回してれば良いよね。という感じの生徒も入れば、もう記録にでも挑戦するかのように、真面目に、呼吸もハァハァと規則正しく刻みながら、一歩一歩を進む生徒さんも居るんですね。
どっちが良いのかはわからないけど、こういう時にでもしっかりと走ることが出来るのが、後々の人生に役立つような気がしますよね笑。
さて、この塀に沿ってしばらく歩いて行くと、大きな正門があります。
そこにはJRAの文字。
馬事公苑は日本中央競馬会が運営する、由緒正しき馬の施設なのです。
馬術大会も出来るアリーナは、芝生、砂、さらには屋内のまで3つがあり、1周1100メートルの走路。もちろん馬が暮らす厩舎などがそろってます。
さらには広大な森と、その中には放牧地もあったりして。
こういう馬と自然の中で触れ合える施設ってなかなか珍しい上に、しかも無料で開放されているのが嬉しいです。
すごく気持ちのよい場所で、毎日夕方になったら散歩したくなるくらい。
でも、扱っているのが馬なので、検疫の問題から犬の散歩は禁止なので、その辺りは気をつけてください。
僕は、ありがたいことに人間なので、まあ好きなように敷地の中を散歩出来たのですが、さすがはJRAの施設なだけあって、どこもかしこも手入れが行き届いていました。
この日も、園芸員さんをとにかくたくさん見かけて、お花畑や馬場の芝生の手入れをしていらっしゃった。
そんな園芸員さんのお茶目心かは知らないけど、見かけたのは馬をモチーフにした、案内板とか、置物の数々。
さて、この馬事公苑には3つの苑訓があるんです。
とくに3つ目の「人馬一如」。
この「一如」とは、仏教用語で、一異の差別なく平等であることを言うんですね。
すなわち、「人」=「馬」。
ということです。
苑内には馬が歩けるコースが縦横無尽に張り巡られていて、入り口に近いあたりは、人と馬との世界が一応分かれているんだけど、どんどん苑の奥の方に行くと、二つの世界はもう曖昧になってくるんです。
さっきまで普通に人のための小路を歩いていたはずなのに、気づいてみたら、足元に足跡が。
どうやら、僕は馬の世界に入り込んでしまったようです。
いや、さっきまで普通に、人のための道だったよね。
いつ馬の世界に入り込んだのか本当にわからないけど、ここでは二つの世界はもう同じようなものであり、どっちがどっちかとかあまり関係ないんですね。
馬のための道を歩いていると、時々障害物が表れてきて、これはさすがに人ではさすがに飛び越えることが出来ないよなぁと、思い始めます。
なんというか、人の無力さと、馬の力強さを実感せざるをえないほど、この障害物は巨大なのです。
ヒヒーン。
でも、芝生の直線の芝生の走路を見ていると、これは走り出したくなってきます。
ヒヒーン。
もはや人と馬は一心同体なんだと思います。
ヒヒーン。
もう僕は馬です。
ヒヒーン。
でも、ここにいるのは、馬界で言うならばエリート集団なわけです。充実した豪勢な施設に、気持ちのよい自然。至れり尽くせりの手入れをしてくれる事を考えると、馬の生活もそう悪いものじゃないかもしれない。
馬事公苑の周りを走る高校生も、馬事公苑の中で走っている馬もそんなに変わるもんじゃないしなぁ。
そう考えながら馬事公苑を歩き続けました。
5月の連休には、ホースショーをやるみたいです。楽しそう。
スポンサーリンク