王子駅のすぐ裏の「音無親水公園(読み方:おとなししんすいこうえん)」は桜や紅葉の歴史ある名所。ライトアップもされ水遊びも出来ます。
王子といえば桜が有名です。
例えば「飛鳥山公園」は江戸時代からの伝統的な桜の名所として、都内でも人気あるお花見スポットです。
一方で、桜が満開の頃などはお花見のお客さんで大混雑もしています。
そんな時、より静かに、より手軽に見たい時にオススメなのが王子駅のすぐ裏にある「音無親水公園」です。
ライトアップもしていますし、また桜の以外にも紅葉の時期や真夏の子供の水遊びにも最適の公園なのです。
音無親水公園は王子駅から徒歩1分。
北口を出てバスターミナルの反対側に出ると、すぐ目の前です。
遊歩道として整備された石畳がつづいているので、そのまま歩いていけば迷うことは無いでしょう。
音無親水公園をおすすめしたい一番の理由が、
渓谷状の地形です。
渓谷とは、深い谷状になっていてその奥底に川が流れていて、いわゆる沢とも呼ばれる山岳地域には多い地形なのですが、何しろ東京都心部では珍しい。
世田谷区に等々力渓谷がありますが、それにお茶の水周辺など数少ない貴重なものなのです。そんな中、音無親水公園は渓谷状の地形であり、その風景は見応えがあります。
渓谷による高低差のある地形は、風景が立体的になるのです。
特に桜や紅葉の季節には、音無親水公園に植えられている樹々も色付きとても美しいものとなり、ぜひとも見ておきたい風景です。
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さて、この音無親水公園がある場所は、歴史的にも風光明媚な名所でした。
歌川広重による「名所江戸百景」にも「王子音無川堰棣 世俗大瀧ト唱」として描かれています。いわゆる石堰があり、世間には「大滝」と呼ばれていたそうです。
大滝があったとされる現在の音無橋付近。昔は音無渓谷とも呼ばれていてまさに深い谷でした
この王子付近は飛鳥山も含めて、王子稲荷や王子七滝など風光明媚な名所が集まっていて、江戸の人々が観光を楽しむ場所だったそうです。
昔は茶屋だった扇屋。落語「王子の狐」にも出てきます
一方で、明治以降には風光明媚だった場所も、産業化と都市化の流れを受けます。
高低差のある水流は動力源として利用され、近くに建てられた製紙会社(渋沢栄一による王子製紙)と大蔵省印刷局の工場に供給されました。
付近には工場が多く建つと共に、それらに勤める工員たちも多く住み着きました。
それらの工業汚水と生活汚水により風光明媚だった音無渓谷も水質汚染が進み、まるでドブ川と化してしまったようです。
飲み屋など雑居ビルが並ぶ王子駅周辺。昭和の裏ぶれた雰囲気が漂います。
まさに下町の職住近接の工業地帯となりつつも、高度成長期のマイナス面の影響も同時に受けることとなったのです。
しかし時代がさらに進むと環境汚染対策が進むと共に、昔の風景を取り戻すべく声も高まり、その結果として整備されたのが「音無親水公園」なのです。
この東京の都市としての時代の流れを表しているかのようなこの公園は、今では模範とされるべき都市公園とされる「日本の都市公園100選」にも選ばれ、目立たないながらもまさに名所とされるべき公園なのです。
そんな音無親水公園は、水に親しむべき場所としての整備も進んでいます。
春や秋にはライトアップもされ、桜や紅葉の美しさと渓谷に架かる堅牢なアーチ橋との風景も見ることが出来ます。
3/21(木)-4/14(日) 17:30-21:00 音無親水公園 桜ライトアップ2019 | PR Station
11月16日(金)-12月16日(日) 16:00-21:00
夏には子供さん達が水遊び出来る場所と運河には水が流されますし、大人にとっても一時の涼を取れる場所となります。
5月3日(木曜)~7月8日(日曜)〔土日祝日のみ〕
7月14日(土曜)~9月24日(月曜)〔毎日運転〕
北区の水遊びが出来る公園
あまり大きな公園ではありませんが、身近で静かに季節を楽しめる場所であり、江戸からつづく風光明媚な名所としてのこのエリアを今に伝えるのが音無親水公園なのです。
花見で盛り上がる飛鳥山公園よりもゆっくりと桜を楽しめるのでぜひオススメです。
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