さてさて、
ここ最近「マイルドヤンキー」という言葉を
マーケティング界隈でよく目にします。
ただのヤンキーじゃなくて、マイルドヤンキー。
元々、ヤンキーとはリーゼントでちょいワル系のやんちゃなイメージです。
一方、マイルドヤンキーとは、暴力性はほとんどなくどちらかと言えば低所得・低学歴寄で、東京に出て成り上がろうという上昇志向よりも地元の中時代の仲間との絆を大切にし、現在の穏やかで居心地の良い日常を楽しみこれから先も地元で生きていこうとしている層です。
地元人生謳歌層と言えるかもしれません。
ちょっとその辺りのことをまとめておこうかな。
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まず、マイルドヤンキーがもてはやされる背景には郊外化問題とか巨大ショッピングセンターの乱立と重なる部分が多くてちょいちょい話題になってましたが、特にここ最近においては博報堂のマーケッターである原田曜平さんの新刊本のプロモーションと伴ってWeb上でも盛り上がってました。
Amazon.co.jp: ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書): 原田 曜平: 本
「若者がモノを買わない」時代、唯一旺盛な消費欲を示しているのがヤンキー層だ。だが、ヤンキーとはいっても鉄パイプ片手に暴れ回る不良文化は今は昔、現在の主流はファッションも精神もマイルドな新ヤンキーである。
郊外には地元に密着する「マイルドヤンキー層」が住みそれがある程度のボリュームがあるのに、都心で働く大手企業のマーケティング担当者や広告代理店の担当者とは生活スタイルも趣味趣向、学歴・収入がまったく異なっています。そのためなかなか見えない世界を社会学的手法から調査すると共に、それらの層に対する商品・サービス開発のアプローチも併せて載せるというなかなか面白い本です。
HONZで成毛さんが感想載せてます。
『ヤンキー経済』六本木からも丸の内からも見えない世界 - HONZ
都心部に住む高感度・高学歴層の若者(後述のタワーマンション族)が、SNSやスマフォで広がった人間関係のメンテナンスのために、カフェや飲み会でお金を使い、(この表現が面白いですよね)物の消費を行わなくなったいま、クルマやショッピングモールで買い物をするヤンキー層は、物販の主役とまで言ってます。
地元密着型マイルドヤンキーが増えている背景には、「イオン」というそこそこの満足度を得られる、ほどほどパラダイスが深く影響してます。
地方にこもる若者たち 都会と田舎の間に出現した新しい社会 [著]阿部真大 - 大澤真幸(社会学者) - 本の達人 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
都心部においても生まれ育ったコミュニティがあり地元密着型のいわゆるマイルドヤンキー族がいると思いますが、流入してくる人数が多いために相対的に少なく、郊外に行くほどマイルドヤンキー族が比例的に増えてます。
そして、そこにはイオンがある。
【イオンモール分布図】 マイルドヤンキーはどこに住んでいるか?|東京生活.com
イオンの功績とは、全国画一的に都心部と同じようなファッション・雑貨・飲食・サービスを提供し、都心部とその他地域の消費面における格差を解消したこと。僕は強くそう思っています。
このイオンが出来た事で消費生活上においては都心部に買い物に出かける必要が無くなり、地元から出ずに十分な満足を得る事が出来るようになりました。
もちろん、本当に文化を生み出すレベルになるとそれぞれの分野において情報が集積している都心部ですが、それはマニアックな話であり、一般的な大衆消費レベルにおいてはそこまでの奥深さは求めらておらず、大きな満足を得ることが出来るイオンはまさに楽園と称されています。
そして、中学時代のコミュニティを維持するのがFacebookやLINEといったSNSです。
ただし、その使用方法は非常に内向的なものであり、LINEはもちろんのことFacebookにしても同級生を中心としたコミュニティであり、twitterに関しても仲間内でのフォローの仕合っているという感じです。場合によっては鍵付きにしているというクローズ環境です。
すなわち、マイルドヤンキー族にとってのインターネットとは、世界に開かれた環境ではなくて仲間内でのコミュニティを濃密にする環境なのです。
だからこそインターネットは仲間内の空間なのでその中で調子に乗っちゃって盛り上がってしまい、ついつい炎上の原因になるような写真をアップしてしまう事例が数多く見られます。
【バカッター】日常茶飯事になったおバカ写真で炎上!!まとめ - NAVER まとめ
そして、マイルドヤンキーと対極的な存在である都心部のタワーマンションなどに住むタワーマンション族との対比が行われています。
一言で言うと情報格差がそれであり、学歴格差を背景としたモノごとに対する理解の差がその行動に違いを生み出してるんじゃないかと思うのです。
地方の「マイルドヤンキー族」は、東京湾岸タワーマンション「空中移動族」と真逆。
昔だったらホワイトカラーとブルーカラーで分別されていましたが、それをマイルドヤンキーとタワーマンション族と分けるのが今の時代です。
とは言えども、この二つの層の間において超えきれない大きな壁があるわけではなく、実際、タワーマンション族においても若い世代においてはマイルドヤンキー的な楽しみ方を享受してます。
マイルドヤンキー御用達の「ドン・キホーテ」に違和感持てないエリート
そして、マイルドヤンキー族の中心的価値観である、身近な友達と深い関係を持っておく事は、精神衛生上やリスク管理の面からも有効であるとも述べられています。
「ヤンキー」のライフスタイルに学ぼう!|山崎元のマルチスコープ|ダイヤモンド・オンライン
さらには、都心部のタワーマンション族のように、今の時代に達成しにくい自己実現欲求を満たそうとせず、地元のコミュニティに所属し、周りに認められる事、居心地の良い現在を楽しむために、幸福度が高く、生活満足度が高いとまで言ってます。
もしかして地元のヤンキーの方が幸せ!? ~地方出身大卒者の不安~:日経ビジネスオンライン
まあ、どちらが満足度が高いのかは、判断の分かれる所ではありますが、確かに地元密着の人間関係の中で過ごすのは気楽で楽しいし、一つの満足を得られます。
週末に、気の置けない中学時代の友人と、クルマで出かけるイオンへのお買い物は確かに楽しいんですよ。
原田さんの本の中で、マイルドヤンキー族における、友人達と過ごす休日についての密着調査があるのですが、この調査結果を読んだ時、「あ、俺、マイルドヤンキー族じゃん」と実感してしまいました。もう当てはまり過ぎてニタニタしちゃうほどに。
マイルドヤンキー→低所得and低コスト。
気楽だけど閉じられた人間関係。
タワーマンション族→高所得and高コスト。
開かれているけどメンテナンスが必要な人間関係。
どちらが良いんだろうね。
どちらともの良い所どりした、「ハイブリット族」とかが結局良さげだなぁ。
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